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子宮筋腫

 

子宮筋腫とは

 子宮筋腫とは、子宮を形成している筋肉の一部が変化してできる良性腫瘍です。
 腫瘍とは、生体内の細胞でありながら、生体のコントロールに反して増殖するもののことをいいます。そして腫瘍には悪性腫瘍と良性腫瘍の二種類があり、悪性腫瘍の代表的なものが癌(がん)、良性腫瘍の代表的なものが筋腫です。悪性腫瘍は、浸潤(しんじゅん)や転移をすることで周囲の細胞を破壊しつつ広がっていきますが、良性腫瘍は他の細胞を破壊することはなく、単にその場所で成長する(サイズが大きくなる)だけです。また、悪性腫瘍は放置すると生命にかかわりますが、良性腫瘍が生命にかかわることは基本的にはありません。
 子宮筋腫は、成人女性の4人に1人が持っているといわれるほど頻度の高い病気です。30代、40代の女性に多くみられますが、まれに20歳以下の女性や閉経後の女性にも発生することがあります。

子宮の構造

 子宮は骨盤の真中にあり、その前方には膀胱、後方には直腸があります。
 卵巣では卵子が作られ、卵管を通して子宮に運ばれます。また卵巣は女性ホルモンの分泌も行ないます。
 子宮内膜は受精卵が着床する部位で、着床しない場合には月経時にはがれて血液とともに膣から体外に排出されます。
 子宮筋層は、厚さが約2cmの平滑筋という筋肉でできていて、子宮の大部分を占めています。

子宮の構造

 

子宮筋腫の原因

 子宮筋腫の発生原因はいまのところ不明です。 しかしながら近年の研究で、卵巣から分泌される女性ホルモンのひとつであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が、発生した子宮筋腫を成長させることが明らかになりつつあります。
 エストロゲンは女性の性成熟期である30代、40代に分泌が盛んになります。これは子宮筋腫の発生が多くみられる年代とほぼ一致します。
 また、エストロゲンが大量に分泌される妊娠中に子宮筋腫は大きく成長し、逆にエストロゲンの分泌量が減少する閉経後は子宮筋腫が縮小するという傾向があります。
 これらのことから、エストロゲンが子宮筋腫を成長させる要因であることはほぼ間違いないと言われています。

 

子宮筋腫の症状

 子宮筋腫は良性腫瘍なので、筋腫が小さく、症状がない場合は特別な治療の必要はありませんが、筋腫が大きく成長すると強い月経痛や過多月経(月経時の出血量が多いこと)、貧血などの症状や、さらには不妊や流産、分娩障害などの重大な症状を引き起こすことがあります。

【子宮筋腫の症状】
過多月経
  • 月経時に大量に出血したり、月経の期間が10日以上続いたりする
  • 子宮筋腫の症状のうちもっとも多い
月経痛
  • 月経時に強い痛みを感じる
不妊・流産
  • 子宮内膜の血液のめぐりが悪くなり、受精卵が着床しにくくなる
圧迫症状
  • 筋腫の増大により子宮や下腹部等が圧迫され、頻尿や便秘、下腹部痛や腰痛になったりする
貧血
  • 過多月経により大量に出血し、鉄分が不足するために起こる
  • 動悸や息切れ、めまいやふらつきなどの症状が出ることもある

これらの症状のうち、過多月経、月経痛、不妊は子宮筋腫の三大症状と言われています。

 

子宮筋腫の分類

子宮筋腫は、子宮内のどこにできるかによって筋層内筋腫、粘膜下筋腫、漿膜下(しょうまくか)筋腫の3種類に分けられます。

【子宮筋腫の種類】

筋層内筋腫

粘膜下筋腫
漿膜下筋腫
  • 子宮筋層(平滑筋)内にできる筋腫
  • 小さいときはほとんど症状はないが、大きくなると子宮を変形させ過多月経や圧迫症状などを引き起こす
  • 場所や大きさによっては不妊や流産などの原因にもなる
  • もっとも多いタイプの筋腫(子宮筋腫の約70%)
  • 子宮の内側をおおう粘膜(子宮内膜)の下にできる筋腫
  • 子宮の内部に向かって大きくなる
  • 筋腫が小さくても過多月経などの症状を起こしやすい
  • 不妊や流産の原因にもなりやすいため、手術が必要となることが多い
  • もっとも少ないタイプの筋腫(子宮筋腫の約10%)だが、症状は一番重い
  • 子宮の外側をおおっている漿膜(しょうまく)という膜の下にできる筋腫
  • 子宮の外側に向かって大きくなる
  • 無症状のことが多いが、筋腫が大きくなると下腹部のしこり、下腹部痛、腰痛、頻尿などの圧迫症状を引き起こす
  • 筋腫がねじれる(捻転する)と急激な腹痛が起こる
筋層内筋腫
粘膜下筋腫
漿膜下筋腫

 

子宮筋腫の診断

 子宮筋腫の検査にはいくつかの種類がありますが、基本的には「問診」「内診」「超音波検査」で子宮筋腫の診断ができます。 それでも分からない場合や、子宮筋腫の症状を調べる場合には、さらに詳しい検査を行ないます。

【子宮筋腫の診断のための検査】
検査名
検査内容
問診
  • 自覚症状、月経の状態、妊娠・出産・中絶経験の有無、既往症(過去にかかった病気)などについて医師より細かく質問される
  • 事前に問診表に記入をしてから問診をする場合が多い
内診
  • 医師が片方の手の指を膣内に入れ、もう片方の手で下腹部を押すことで、子宮や卵巣の様子を調べる
  • 筋腫の有無や大きさなどがわかる
超音波検査
  • 超音波を出す機械によって、体内の様子を画像にして調べる
  • 筋腫の位置、大きさ、数をある程度特定できる
MRI検査
  • 磁気を利用した装置によって、体内の様子を詳細な画像にして調べる
  • 超音波検査よりも詳しい情報が得られる
CT検査
  • X線を利用した装置によって、体内の様子を詳細な画像にして調べる
  • 超音波検査よりも詳しい情報が得られる
血液検査
  • 血液内の赤血球やヘモグロビンの数値などから、子宮筋腫による貧血があるかどうかを調べる
  • 合併症の有無も調べることができる
超音波検査
MRI検査

 

子宮筋腫の治療法

 子宮筋腫の治療は、筋腫の状況によって異なります。
 特に症状がなく筋腫も小さい場合には、経過観察を行なって様子を見ますが、強い症状がある場合や筋腫が大きく成長した場合には、薬物療法や手術療法を行ないます。
 薬物療法や手術療法の中にも様々な方法がありますので、病気の状況等をふまえた上で、専門医とよく相談をする必要があります。
 
子宮筋腫の治療法-経過観察
 子宮筋腫は発生原因がわからないために予防法もないのですが、定期検診等で早期に発見することで、経過をみるとともに適切な治療を受けることができます。
 筋腫が小さく、症状もない場合は、定期検診で経過観察を行なっていれば特別な治療は必要ありません。経過観察の中で筋腫の大きさや症状に変化があった場合には、積極的な治療を検討します。
 定期検診は6か月に1回のペースが基本ですが、筋腫が成長しているときは3か月に1回にしたり、筋腫の成長がほとんどない場合は1年に1回にしたりと、個人の状況により異なります。専門医の指示に従って検診を受けましょう。
 また、身体に何らかの異変を感じた場合は、検診日でなくてもすぐに専門医に相談しましょう。
 
子宮筋腫の治療法-薬物療法 子宮筋腫の薬物療法には、鉄剤や鎮痛薬等を用いて症状を軽くする対症療法や、ホルモン剤を用いて身体を一時的に閉経状態にし、筋腫を成長させる要因であるエストロゲンの分泌や作用を抑えて筋腫を小さくする偽閉経療法等があります。
 対症療法は子宮筋腫自体に対する効果はありませんが、子宮筋腫の不快な症状を軽減することができます。
 偽閉経療法は筋腫を一時的に小さくする効果がありますが、副作用として更年期障害のような症状(ほてりや多汗、めまい等)が出る可能性があります。
 どちらの治療法も、子宮筋腫を根本的に治すことはできません。子宮筋腫の治療における薬物療法とは、筋腫による症状をコントロールして子宮筋腫との共生をはかるためのものです。

子宮筋腫の治療法-手術療法
 薬物療法では症状を抑えきれない場合や、病気を根本的に治療したい場合には手術療法を行ないます。
 子宮筋腫の手術療法には、子宮をすべて摘出する子宮全摘術と、筋腫のみを摘出しその他の器官(卵巣など)は残す子宮筋腫核出術があります。
 子宮全摘術は、筋腫の症状が完全に治り、また再発がないというメリットがありますが、手術後は妊娠・出産ができなくなるというデメリットもあります。
 子宮筋腫核出術は、筋腫の症状が高い確率で治り、また手術後にも妊娠・出産が可能というメリットがありますが、再発の可能性が高いというデメリットもあります。
 このように、手術療法にはそれぞれメリットとデメリットが存在するので、筋腫の症状やライフプラン等を考慮し、さらに専門医と相談した上で、自分に合った手術療法を選択しましょう。

※治療に当たっては、必ず専門医(産婦人科・婦人科など)にご相談ください。
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