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高血圧

 

高血圧は、ある日突然訪れるサイレント・キラー(沈黙の殺人者)

高血圧はサイレントキラー 血圧が正常な範囲を超えて高い状態が続くと、やがてさまざまな合併症を引き起こします。
 厚生省の患者調査によると、高血圧の患者さんの数は年率5.5%で増加しており、800万人を超えていると推定されています。
 総理府が平成12年2月実施した「生活習慣病に関する世論調査結果」によると、「高血圧は糖尿病に比べ、非常に怖い病気という意識は低い」、という結果がでています。
 しかし、高血圧は合併症が現れるまでに数年から十数年の無症状が続くため、病気と気づかずそのまま放置しがちです。そのため、ある日突然、動脈硬化や脳卒中、心不全、腎不全など合併症がサイレント・キラー(沈黙の殺人者)となって現れるこわい病気です。
 高血圧は早くから血圧を正常にコントロールする治療を行えば、合併症の発生を防ぐことができます。また、適切な治療によって、合併症を起してしまった人でも悪化させず、再発を防止することができます。


【意外と軽視されている高血圧症】

怖い病気とは思わない
少し怖い病気だと思う
非常に怖い病気だと思う
わからない
高血圧についての感じ方
7.8%
37.6%
52.5%
2.1%
糖尿病についての感じ方
5.8%
21.4%
71.0%
1.9%
高脂血症についての感じ方
7.7%
38.9%
37.6%
15.8%
「生活習慣病に関する世論調査」(平成12年2月総理府)より

高血圧が招く3大合併症

高血圧が招く3大合併症  高血圧とは、血液が血管に通常以上の圧力をかけている状態で、血管の壁は引き伸ばされて薄くなります。この状態を元に戻そうとするため、動脈の壁が厚く硬くなっていきます。
 その結果、心臓では狭心症や心筋梗塞、脳では脳出血や脳梗塞、そして腎臓では腎不全など命にかかわる恐ろしい合併症を招きやすくなります。しっかりと血圧の管理を行ない、これらの合併症の発症を予防しましょう。

 

日本人の患者さんの90%は本態性高血圧です。

 高血圧は大きく分けて、原因がはっきりしない本態性高血圧と、他の病気が原因で起こる二次性高血圧の2つに分けられます。日本人の患者さんの約90%は本態性高血圧です。

【本態性高血圧と二次性高血圧の違い】

本態性高血圧
二次性高血圧
発症年齢
40歳前後から徐々に現れます。
20代〜30代で現れます。
発症のスピード
一般的には年齢とともに徐々に血圧が上がりますが、 2〜3年の短期間で急速に進行することもあります。
急速に血圧が上がります。
発症の原因
原因は不明です。
腎臓の病気やホルモンの異常、特定の薬を服用することにより誘発されるものなど、原因が判明しています。
治療の方法
食事療法、運動療法から始め、効果がみられない場合には薬物療法をとり入れます。 高血圧を引き起こしている病気そのものの治療を行います。
患者さんの割合(日本人の場合)
約90% 約10%

 

高血圧になりやすいのはどんな人?

高血圧になりやすい生活習慣があります。生活習慣を正すだけで軽度の高血圧は改善されます。

高血圧の危険因子
  • 食塩の摂取量が多いほど血圧が高くなります。1日の塩分摂取量の目標値は10g以下、5〜6gが理想とされています。
  • 過度の飲酒は血圧を上げ、逆に少量のアルコールは血管を拡張し血圧を下げます。
  • タバコは百害あって一利なしです。過度の飲酒とタバコとの併用により、心臓の病気になる危険性はさらに高くなります。
  • 肥満は高血圧の他、糖尿病や高脂血症も引き起こしやすくなります。
  • その他:ストレスの蓄積や疲労と睡眠不足

 

わずかな自覚症状も見逃さないで!

高血圧の自覚症状 高血圧はサイレント・キラー(沈黙の殺人者)といわれるように自覚症状が乏しく、いつのまにか高血圧になっていた、ということになりがちです。
 しかし、自覚症状が全くないわけではなく、ひどく疲労した時などに一時的に自覚症状が出てくることもあります。
 図のような症状を自覚しましたら、念のために、検査することをおすすめします。

 

高血圧の検査と診断

血圧の分類

血圧の分類 血圧は、血圧計によって簡単に測定できます。世界保健機構(WHO)の基準では、140/90mmHg以上を高血圧として、さらに、軽症から重症まで3段階に分類しています。
 また、正常の評価も3段階に分け、特に正常高値(左図参照)には注意を促しています。  高血圧と診断されると、一般的には尿検査、血液検査、胸部のレントゲン検査や心電図などを行います。
 これらの検査で、高血圧の原因と高血圧の合併症を調べます。

「人間の血圧は脈拍の回数だけ(1日に10万以上)変動します―血圧の日内変動―」

 血圧値というのは、心臓が鼓動するたびに異なります。例えば、1分間の脈拍が70回とすれば、1日に約10万回の血圧値が存在します。つまり、今測定した血圧値は10万分の1の血圧に過ぎないのです。そこで、携帯式の24時間血圧モニターを使用しますと、1日の血圧の変動パターンが詳細に観察でき、治療のためのきめ細かなデータを得ることができます。
血圧の日内変動

24時間血圧モニターでわかること


  1. 将来の合併症の予測に役立ちます。
  2. 立ち上がった時に、血圧が急激に低下する起立性低血圧の診断に役立ちます。
  3. 薬の効果を24時間にわたって確認できます。このため、心血管事故に結びつきやすい、早朝の極端な血圧上昇や夜間の血圧の下げすぎなどを未然に防ぐことができます。

 

高血圧の治療法

 高血圧の治療には、食事療法、運動療法、薬物療法があります。130/85mmHgまでが正常血圧とされていますが、これ以上の人は、まずは生活習慣の改善を行います。
 食事療法や運動療法をきちんと行っていても血圧が正常値まで下がらない場合には、薬物療法に入り、降圧剤を服用します。なお、薬物療法を行う場合でも、食事療法と運動療法を併用します。

食事療法

食事療法の基本

改善の目安
  1. 食塩の制限→1日10g以下
  2. 脂質の制限→1日40g以下
  3. エネルギー量の制限→1日の適正エネルギー量内
特に注意したい点
  1. 塩分の多い食品を覚える。
    加工食品は塩分が多いので、控えめにする。
  2. 動物性脂のとりすぎに注意する。
  3. 自分にあった適正なエネルギー量の計算方法を覚える。
【(参考資料1) 食品別塩分量】
食品名
重量
塩分量
食品名
重量
塩分量
即席ラーメン
1袋100g
5.3g
牛乳
1本200ml
0.0g
塩鮭
1切れ50g
4.0g
うどん
1玉200g
0.2g
たらこ
1腹55g
3.6g
プロセスチーズ
2切れ20g
0.3g
味噌汁
1杯20g
2.5g
するめ
1つかみ20g
0.4g
いかの塩辛
大さじ1杯20g
2.3g
ハム
1枚20g
0.5g
たくあん
2切れ20g
1.4g
ちくわ
1/2本30g
0.7g
めざし
2尾30g
1.3g
食パン
1枚60g
0.8g
トマトジュース
1本195g
1.2g
かまぼこ
2切れ40g
1.0g

食事療法においての算出
    【(参考資料2)標準体重の算出】
    自分の標準体重を算出してみましょう!
    身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)
    例)身長170センチの人の適正な体重は?     答え)1.7×1.7×22=63.6kg
    【1日の適正なエネルギー量の算出】
    標準体重×体重1kgあたりの必要エネルギー量(約30kcal)
    例)身長170センチの人の適正なエネルギー量は?     答え)63.6×30=1908kcal
    ※体重1kgあたりの必要エネルギー量は、1日の生活活動によって25〜35kcal程度の幅があります

運動療法

運動療法の基本

運動療法の対象者
  1. 上の血圧が160 mmHg未満、下の血圧が110 mmHg未満の軽症の高血圧の人は食事療法と同じく、基本的な治療として行います。
  2. すでに降圧薬療法を実施している方でも行います。
特に注意したい点
  1. 運動療法を始める前には、医師による入念なチェックを受けてください。
  2. 過度の運動は控えてください。
  3. 運動療法による降圧は、運動継続中は持続してみられますが、運動の中断により消失しますので、長期間持続するように努めることが必要です。

薬物療法  薬物療法は食事療法や運動療法をきちんと行っていても、血圧が正常値まで下がらない場合に行います。
 しかし、薬物療法は血圧を正常に保つ手助けをするのであって、高血圧そのものを治すものではありません。したがって薬物療法を始めたら、基本的には「一生」続けることが必要になります。
 肩こりや頭痛などの自覚症状がなくなったからといって、医師の許可なく薬を止めることは脳卒中などの合併症が起きやすくなり、大変危険です。

治療薬の種類
効果
副作用
利尿薬
高血圧の原因である塩分(ナトリウム)を尿とともに排泄させ、血液の量を減少させることにより血圧を下げます。
耐糖能の低下、血中の尿酸値の上昇、高脂血症などの代謝面への悪影響があります。
β-遮断薬
心拍数を減らし、心拍出量を低下させることにより、血圧を低下させます。
徐脈(一分間の心拍数が50未満)や気管支喘息、心不全などが起きることがあります。
※喘息の患者さんは使用できません。
α1遮断薬
収縮している末梢血管を拡張させ血圧を低下させます。
起立性低血圧による、立ちくらみやめまいを起すことがあります。
カルシウム拮抗剤
細胞内カルシウムイオン濃度を低下させることにより、血管を拡げ、血圧を低下させます。現在、最も多く使用されている降圧剤です。 頻脈、動悸、顔面紅潮、ほてり感、下腿の浮腫などの副作用があります。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
(ACE阻害薬)
強力に血圧を上昇させるホルモンを産生するレニン・アンジオテンシン系の作用をたち切り、血圧を低下させます。 服用した患者さんの10数%に空咳(からせき)がみられます。服用を止めればまもなく消失します。※喘息の患者さんは使用できません。
アンジオテンシンII拮抗薬
拮抗剤、ACE阻害薬と同様の効果が期待できます。 空咳(からせき)の副作用を解消しています。

※治療に当たっては、必ず専門医にご相談ください。
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