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花粉症

 

花粉症とは

花粉症 花粉症とは、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を特徴とする花粉によって引き起こされるアレルギー性疾患です。原因となる花粉が飛散する時期にだけ症状が現れるため、季節性アレルギー性鼻炎とも言われています。
 平成11年現在、日本では約17%の人が花粉症(スギ花粉症)にかかっていると推定されています。 原因となる花粉は日本国内だけで約50種類も報告されていますが、日本の花粉症患者さんの約80%はスギ花粉が原因で発症しているといわれています。また、日本は南北に細長い国のため、飛散する花粉には地域差があります。春先、北海道では白樺花粉が多く飛散しますが、本州・四国・九州ではスギ花粉が多く飛散します。そして、初夏はイネ科の花粉、秋はブタクサの花粉といったような季節による違いもあります。
 花粉症は2月〜4月にかけてのみ発症するのではなく、原因となる花粉の種類によっては、夏や秋にも発症する病気です。

 

なぜスギ花粉症患者が急増したのか?

 日本では、昭和45年頃からスギ花粉症の患者さんが徐々に増えはじめ、昭和50年代に入るとその数が急激に増加しました。
 それには、日本におけるスギの植林事情が影響しています。昭和30年代に拡大造林と呼ばれる林業政策によって、日本中にスギが植林されました。この植林されたスギが成長して花粉を産生する樹齢に達し、昭和50年代にいっせいに花粉を飛散するようになったことが、スギ花粉症患者急増の原因だといわれています。


 

花粉症の症状は

花粉症の症状は 花粉症は鼻や眼に様々な症状を引き起こすことが知られていますが、それ以外にも身体の各部位に特有の症状を引き起こします。スギ花粉症の患者さんの症状を聞いてみると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼やのどのかゆみ、咳がでる、不定愁訴(※)などの症状を訴える人が多いことがわかります。また、頭重感、頭痛、倦怠感、不眠、身体のほてり、顔のほてり、イライラ感、胃腸の具合が悪いなどきわめて多くの症状があることもわかります。
 そのため、花粉が飛散する時期になると、花粉症の患者さんの中には肉体的にも精神的にも非常に意欲が低下して、日常生活(QOL)にまで支障をきたしてしまう方もいらっしゃいます。

※ 原因がわからない頭痛やめまい、肩こりといった不快な症状のこと


 

特につらい鼻と眼の症状

特につらい鼻と眼の症状 花粉症の様々な症状の中で、日常生活に特に影響を与えるのが鼻と眼の症状です。
  くしゃみが10数回続けてでたり、中には1日中絶え間なくでて止まらない人もいます。そのため、腹筋や胸筋を痛めてしまうこともあります。
 鼻水も、水のような鼻水が止めどなく流れ出るという感じが特徴です。また、鼻をかみすぎて、鼻の入り口が赤くただれて痛くなることもしばしばあります。
 鼻づまりは、鼻の症状の中で1番つらい症状です。ただでさえ鼻の奥は狭くなっており、少しでも粘膜がはれると鼻づまりを感じるものですが、ひどい場合は両方の鼻が完全につまってしまい、全く鼻で息をすることができなくなります。そうすると必然的に口で息をしなければならなくなりますが、鼻で息をできないと夜眠れずに、睡眠不足になることもあります。また、口で息をする結果、のどがカラカラに渇くという二次的な影響も出てきます。
 眼の症状としては、まずかゆくなり白眼のところやまぶたの裏も充血して赤くなり腫れぼったくなります。また、かゆいために眼をこすって結膜や角膜に傷をつけてしまい、眼がごろごろする、痛くなるといった症状もでてきます。さらには、涙がでて止まらなくなる人もいます。

 

原因花粉の飛散期は大きく3つに分けられます

花粉症・原因花粉の飛散期 花粉症は一般的に風に運ばれる花粉によって発症します。その花粉の飛散期によって、花粉症の原因花粉を3つに分けることができます。
分類
原因花粉
飛散期
木本植物
スギ、ヒノキ科、マツ科、カバノキ科、ブナ科、ニレ科など
2〜5月
イネ科
草本植物
カモガヤ、オオアワガエリ、ナガハグサ、ホソムギ、ハルガヤなど
3〜10月
雑草本植物
キク科の帰化種(ブタクサ、オオブタクサ)、キク科のヨモギ属、
クワ科のカナムグラ、イラクサ科など
8〜10月

 

花粉症の検査

 花粉症かどうかをはっきり知るためには、まず、鼻鏡検査や鼻汁細胞検査に行って、鼻や目の症状がアレルギー性のものかどうかを確認します。そのうえで、原因花粉の検査に入っていきます。

検査法
特徴
鼻鏡検査
 鼻粘膜の状態を「鼻鏡」を使って直接診る検査です。正常な人の鼻粘膜はピンク色をしていますが、花粉が原因でおこる季節性の鼻アレルギーでは、初期が赤色で最盛期が蒼白色に、またダニやハウスダストが原因でおこる通年性の鼻アレルギーでは持続的に蒼白色になります。
鼻汁中好酸球検査
鼻汁中好酸球検査 鼻水を採って、顕微鏡で好酸球の数を調べます。好酸球とは炎症細胞の一つで、アレルギー性の炎症が起きると増加します。好酸球の増加が確認できたら陽性です。
皮膚反応テスト
 腕の皮膚に小さな傷をつけ、そこに花粉エキスをたらしたり、注射することで皮膚の反応を調べます。15〜20分後、20mm以上赤く腫れたら陽性です。
血清抗体検査RAST法
 1回の採血で、血液中のIgE抗体量と、原因となっている花粉の種類を特定します。血液中にIgE抗体が存在していると陽性です。
鼻誘発テスト
鼻誘発テスト 花粉エキスなどを染み込ませた紙片を鼻の粘膜に貼り、アレルギー反応が起こるかどうかを調べます。くしゃみ発作・かゆみ、鼻粘膜の蒼白浮腫、鼻水分泌の3症状のうち2症状以上でれば陽性です。

 

花粉症の診断

 花粉症の診断は、まず問診及び鼻鏡検査を行います。その結果花粉症が疑われたときには、鼻汁中好酸球検査、皮膚反応テスト又は血清抗体検査で原因花粉を特定し、鼻誘発テストで最終的な確定診断を行います。
 しかし、特に症状の強い花粉症患者さんの場合は、鼻誘発テストを行うことが困難なため、鼻汁中好酸球検査、皮膚反応テスト又は血清抗体検査、鼻誘発テストのうち2つ以上で陽性の結果が出ると確定診断とすることができます。

花粉症の診断
【問診時の確認事項】
  • 症状と花粉飛散期が一致しているかどうか
  • 鼻症状は屋内・屋外のどちらで強く表れるか
  • くしゃみは連発するか
  • 目のかゆみを伴うか
  • 鼻水は水性か膿性か
  • 花粉飛散期の晴天の日に症状が強いかどうか

 

花粉症の治療法

 花粉症の治療はまず、原因花粉とできるだけ接触しないような生活指導を行うことから始めます。そして、花粉の飛散する季節に薬物療法を行います。また、患者さんの症状によっては減感作療法や手術を行うこともあります。

日常生活の対策
花粉症・日常生活の対策

花粉症・日常生活の対策
  • 規則正しい生活をしましょう
    不規則な生活やストレスによって自律神経のバランスが崩れてしまうと、ちょっとした刺激でも症状がでてしまいます。生活のリズムを守って健康的に過ごしましょう。

  • 外出時の服装
    外出時に限らず、花粉症の季節の衣服はできるだけ花粉がつきにくい素材(化繊・木綿生地など)を選びましょう。これらの素材だと、付着した花粉も簡単に払い落とすことができます。 そして、外出するときは必ずマスクとメガネをしましょう。
    マスクは口や鼻に入る花粉を約90%以上、メガネは目に入る花粉を1/3に減らすといわれています。また、湿らせたガーゼをマスクにはさむことで花粉防止効果は一段とアップします。なお、湿らせたガーゼは鼻に適度な湿気を与え、粘膜を守ることにもなります。

  • 家事
    花粉は気温の高い午後に多く飛びます。掃除や洗濯はできるだけ午前中に済ませましょう。また、掃除のときにはなるべく窓を開けず、花粉が室内に入るのを防ぎましょう。

  • 帰宅したら
    家に入る前に、必ず衣服に付いた花粉を払い落としましょう。そして、目を洗う、うがい、鼻をかむことで目、鼻、のどの花粉を取り除きましょう。


花粉飛散シーズンの薬物療法
  花粉症の治療は、症状が現れることをを防ぐ初期治療、症状が現れた後、速効性がありかつ強力な治療で症状を抑制する導入療法、そして、症状の再現を抑える維持療法の3つに分けられます。
 実際の治療は、花粉症の患者さんが病院へ来院した時期及び症状の重症度によって、どの段階の治療から開始するかを決めることになります。

  1. 初期療法
    花粉症の治療法・維持療法  症状のでていない花粉症の患者さんには、花粉の飛散開始日を基準として、その2週間程度前から化学物質遊離抑制薬を投与する予防的治療から始めます。これは、化学物質遊離抑制薬が、アレルギー症状を抑制する効果を発揮するためには2週間程度毎日服用することが必要だからです。
     また、軽微な症状がでてからの治療は、第2世代抗ヒスタミン薬での治療になります。ただし、この薬での治療も花粉の飛散開始日から大量飛散日の間までで、この期間に治療を開始すれば約1週間で予防的治療を開始した患者さんと同等の効果が得ることができます。
  2. 導入療法
    現状では花粉症の患者さんの多くは、早期に受診するのではなく、症状が重くなってから受診しています。そのため、これらの患者さんには、現在ある症状を抑制する強力な治療、例えば短期間のステロイド剤の内服が必要となります。なお、症状が治まってきたらもう少し軽い薬での治療に切り替えます。
  3. 維持療法
    花粉症の治療は、症状が消失しても花粉の飛散が終わるまで使用している薬剤での治療を続けることが重要になります。これが維持療法です。

【花粉症に用いる主な薬剤】
分類
特徴
化学物質遊離抑制薬(従来の酸性抗アレルギー薬)
  • 抗ヒスタミン作用のない、アレルギー症状を起こす化学伝達物質を抑制する抗アレルギー作用をもつ薬です。
  • 花粉症のシーズン前の投与が有効です。(効果が出てくるまでに、2週間程度かかるため)
第1世代抗ヒスタミン薬(従来の抗ヒスタミン薬)
  • 抗ヒスタミン作用のみで抗アレルギー作用はない薬です。
  • 即効性(20分程度で効果現れます)ですが、眠気を伴います。
第2世代抗ヒスタミン薬(従来の塩基性抗アレルギー薬)
  • 抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用をもつ薬です。
  • 眠気を伴うことは比較的少ないです。
  • 抗ヒスタミン作用は早く現れますが、抗アレルギー作用は効果が出てくるまでに約2週間かかります。
  • 花粉症に対しては抗ヒスタミン作用が主です。
サイトカイン阻害剤
  • アレルギー発症に関するサイトカインの生成を阻害する薬です。
ロイコトリエン受容体拮抗薬
  • 化学伝達物質の1つ、ロイコトリエンの作用を抑制する薬です。
  • 通年性アレルギーでは鼻閉に有効ですが、花粉症には不明です。
トロンボキサン受容体拮抗薬
  • 化学伝達物質の1つ、ロイコトリエンの作用を抑制する薬です。
  • 通年性アレルギーでは鼻閉に有効ですが、花粉症には不明です。
局所ステロイド薬
  • くしゃみ、鼻水、鼻閉にも効果が高く、効果が出てくるまでに1〜2日と即効性のある薬です。
  • 血管内へ吸収されにくく、局所で分解を受けやすいため全身投与に比べ副作用の出てくることはまれですが、鼻内刺激感、鼻内乾燥感、鼻出血などがあります。
経口ステロイド薬
  • 強力な抗炎症作用がある薬です。
  • 副作用に注意し、短期間もしくは症状がでたとき投与します。


シーズンに関係ない治療法
  1. 減感作療法(免疫療法)
     感作とは体の中に抗体ができるという意味で、減感作とは抗体が減ることをいいますが、この治療をして症状がよくなっても、それに応じて抗体が減りません。体の免疫状態に変化が起こるため、最近では免疫療法という言葉が多く使われます。
    花粉症シーズンの薬による治療は、薬の服用を中止すると1〜2週間で薬の効果は切れてしまいます。しかし、免疫療法は中止後の効果が5〜10年、またはそれ以上続くのが特徴で、現在では治癒を期待できる唯一の治療法です。
     抗原エキスを微量ずつ、間隔をあけて注射して、これを約2〜3年続けると効果が現れてきます。治療が長期間にわたること、効果がすぐに現れないことが欠点ですが、免疫療法終了5年後では、治療を受けた約70%の方の症状が軽くなり薬がほとんどいらない状態になっています。
  2. 手術
     鼻づまりの症状が薬では良くならない時は、手術をすることがあります。繰り返す発作のため鼻の粘膜がケロイドのようになってしまった人(肥厚性鼻炎)や、先天的に鼻の骨が曲がっていて鼻づまりを起こしている人(鼻中隔弯曲症)などが対象となります。
  3. 漢方療法(体質改善)
     漢方薬は、花粉症に対しては局所症状だけでなく、全身の体質改善も期待できるということで使われることがあります。具体的には、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)、葛根湯加辛夷川(カッコントウカセンキュウシンイ)などたくさんあります。しかし、他の病気の場合と同様に花粉症の場合も、患者さん本人の体質に合った漢方薬を処方してもらう必要があります。

※治療に当たっては、必ず専門医にご相談ください。
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