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過敏性腸症候群

 

過敏性腸症候群とは

 過敏性腸症候群(IBS = Irritable Bowel Syndrome)とは、腸に器質的(=身体的)な病気(大腸がんや潰瘍性大腸炎など)は存在しないのに、機能的な症状が存在する病気のことを言います。腹部の一般的な検査を受けてみても「特に異常はない」と言われるのに、 「仕事中や会議中に急にお腹が痛くなる」「通勤・通学の電車の中で腹部に不快感を感じて途中下車をしてしまう」「便秘や下痢などの便通異常が慢性化している」などといった症状がある場合、過敏性腸症候群である可能性があります。
  過敏性腸症候群は日本人では多くみられる病気で、 約10%の方が過敏性腸症候群の症状を持っているとも言われています。

 

過敏性腸症候群の症状

 過敏性腸症候群は、その症状から大きく分けて3つのパターンに分類できます。

【過敏性腸症候群の3つの症状パターン 】

症状のパターン
特徴
下痢型
  • 腹痛や腹部不快感をともなう慢性的な下痢
  • 一日に何度もトイレに駆け込む
便秘型
  • 腹痛や腹部不快感をともなう慢性的な便秘
  • 一般的に女性に多く見られる
下痢・便秘交替型
  • 下痢型と便秘型の症状を繰り返す

その他の症状としては、ガス症状、腹部の膨満感、お腹がゴロゴロ鳴る(腹鳴)などがあります。

 

過敏性腸症候群の症状が出やすい状況

過敏性腸症候群の症状が出やすい状況  過敏性腸症候群の症状には、出やすい状況というものがあります。
 一般的には、強い緊張やストレスを感じる場面で症状が出やすいと言われています。例えば仕事中や会議中、授業中やテスト中、面接中、また出社中や登校中などです。
 それを裏付ける事例として、仕事や学校が休みの日や、通勤・通学中でも帰社・下校時には症状が出にくいということがあります。

 

過敏性腸症候群の原因

 過敏性腸症候群の原因としては、不規則な生活、精神的な緊張や不安、ストレスなどが挙げられます。 中でもストレスは過敏性腸症候群の最大の原因であるとされています。
 緊張や不安、ストレス等が自律神経を介して腸に伝達され、その結果、腸が過敏になり腹部症状を引き起こすと言われています。
過敏性腸症候群の原因

 

過敏性腸症候群の検査・診断

 過敏性腸症候群の検査でもっとも重要なのは問診です。 問診では、自覚症状、症状のパターン、排便回数と便の状態、いつから症状があるか、どのような状況下で症状が出るか、既往症(これまでにかかった病気)、生活習慣、食生活、生活上のストレスについてなどの質問を受けます。
 その他に、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの器質的(=身体的)な病気がないことを確認するための一般的な検査も行われます。

【過敏性腸症候群の検査】

検査名
検査内容
問診
自覚症状、生活習慣、食事、ストレスなどについての質問をする
便検査
便中の血液の有無を調べる
血液検査
血液を採取し、その成分を調べる
腹部X線撮影
X線(レントゲン)で腹部を撮影し観察する
大腸内視鏡検査
内視鏡を肛門から挿入し、腸を観察する

 

過敏性腸症候群の治療

 過敏性腸症候群の治療には、生活習慣の改善、食事療法、薬物療法、心理療法などがあります。

生活習慣の乱れは過敏性腸症候群の原因のひとつです。生活習慣を改善し、QOL(=Quality Of Life)を高めましょう。

【生活習慣の改善例】

  • 規則正しい生活を送る
  • 十分な睡眠と休養をとる
  • バランスのよい食事を三食きちんと食べる
  • 適度な運動を行なう
  • 趣味などで気分転換をする
  • リラックスできる時間や空間を作る

  もちろん、趣味やリラックスするための方法は人それぞれです。音楽や読書、スポーツなど、自分にあった気分転換の方法を見つけましょう。


食事療法  過敏性腸症候群の食事療法は、バランスのとれた食事を一日三回規則的にとることが基本です。
 その上で、前述した3つのパターン(下痢型、便秘型、下痢・便秘交替型)に応じて適切な対処法をとるようにしましょう。

【症状パターン別の食事療法】

症状のパターン
対処法
下痢型
  • 冷たい飲み物、香辛料、油分の多い食品、発酵食品など、腸粘膜を刺激し下痢を悪化させる食品を避ける
  • 消化に悪い食品を避ける
便秘型
  • アルコール、香辛料、炭酸飲料、脂肪分の多い食品など、刺激物を避ける
  • 食物繊維をとる
  • ビタミンB、ビタミンCをとる
下痢・便秘交替型
  • その時の腸の症状に合わせて食べるものを選ぶ


過敏性腸症候群の薬物療法には、様々な種類の薬があります。 いずれの薬も、専門医の指示に従って服用しましょう。

【過敏性腸症候群に用いる薬】

分類
特徴
消化管機能調節薬
  • 消化管の運動を調節して、過敏状態をやわらげる
便性状改善薬
(ポリカルボフィルカルシウム)
  • 高分子重合体を医薬品に改良したもの
  • 便の性状を変化させ、便通を整える
  • 下痢・便秘の両方に効果がある
  • 下痢の場合は便の水分を吸収し、便を固める
  • 便秘の場合は吸収した水分を保持し、便が固くなるのを防ぐ
対症療法薬
  • 症状を一時的にやわらげる
  • 下痢の場合には整腸剤
  • 便秘の場合には下剤
抗不安薬
  • 不安や緊張をやわらげる
抗うつ薬
  • 気分の落ち込みや抑うつ状態を防ぐ


心理療法
 過敏性腸症候群は、その主な原因がストレスであることからも分かるように、心理的な問題と深く関係しています。
 担当の医師に症状の相談をしたり、またはカウンセリングを受けることで、過敏性腸症候群の原因となっているストレスが判明したり、またストレスへの対処法が見つかることもあります。
 相談やカウンセリングを通じて、担当の医師との間に良好な信頼関係が構築できれば、内科的な側面と心理的な側面の両面から治療を進めることができます。

※治療に当たっては、必ず専門医(消化器内科など)にご相談ください。
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