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全般性不安障害(GAD)

 

全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder: GAD ジーエーディー)とは

 不安とは「気がかりな心の状態。安心できないさま」(岩波書店「国語辞典」第4版)のことをいいますが、それは誰もが感じるもので、不安を感じるからといって、日常生活に支障をきたすことはあまりありません。ところが、誰もが感じる程度をはるかに超える不安を持ち、それがもとで日常生活に支障をきたしてしまう「不安障害」という病気があります。
 GADも不安障害の中の一つであり、「特定の状況の限定されない、理由の定まらない不安や心配」が長期間続き、このような不安や心配に「こころやからだ」の症状が伴う病気で、以前は不安神経症と呼ばれていました。

 

全般性不安障害(GAD)の患者さんの特徴

全般性不安障害(GAD)tとは GADの患者さんが持つ不安や心配の原因は、ある特定のことに限定されるわけではなく、「家庭生活」「仕事」「学校」「近所づきあい」「地震や大雨などの天災」「外国での戦争」など、あらゆるものが対象になります。
 そして、自分ではどうすることもできない事柄についても深刻に悩み、不安や心配をコントロールできなくなって、「こころやからだ」の調子が悪くなり、日常生活に支障をきたしてしまいます。
 アメリカで行われた調査によれば、一生の間にGADにかかる人の割合(生涯有病率といいます)は3〜5%、また、不安を専門に診ているクリニックでは、全患者さんの30%程度がGADと診断されており、患者さんがかなり多くいる病気であることがわかります。
 なお、患者さんの男女比は、1:2となっており、女性に多い病気であり、20歳前後で発病することが多いといわれています。

 

全般性不安障害(GAD)の診断

 GADの診断基準には、米国精神医学会編「DSM-W 精神疾患の分類と診断の手引」が主に使われますが、その基準の核となる部分をまとめると次のようになります。

  1. 仕事や学業などの多数の出来事または活動について、過剰な不安と心配がある。しかし、その原因は特定されたものではない。
  2. 不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない日よりある日のほうが多い。
  3. 不安や心配をコントロールすることが難しいと感じている。
  4. 不安や心配は、次の症状のうち3つ以上の症状を伴っている。
  • そわそわと落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
  • 疲れやすい
  • 集中できない、心が空白になってしまう
  • 刺激に対して過敏に反応してしまう
  • 頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
  • 眠れない又は熟睡した感じがない

 GADであるかどうかを診断する場合、上記のDSM-Wなどの診断基準が使われますが、患者さんに出ている症状が他の病気(身体の病気、GAD以外の不安障害やうつ病などの精神科領域の病気)によるものではないことを確認することも重要となります。

 

全般性不安障害(GAD)の患者さんが訴える症状

 GADの患者さんが訴える症状は、次のように様々なものがあり、不安と心配を過剰に持つことがいかに「こころやからだ」に悪い影響を与えるかがわかります。

身体症状

  • 頭痛、頭重、頭の圧迫感や緊張感、しびれ感
  • そわそわ感
  • もうろうとする感じ
  • めまい感、頭がゆれる感じ、船酔している感じ
  • 自分の身体ではないような感じ
  • 身体の悪寒や熱感、手足の冷えや熱感
  • 全身に脈拍を感じる
  • 便秘や頻尿 など
 

精神症状

  • 注意散漫な感じ
  • 記憶力が悪くなる感じ
  • 根気がなく疲れやすい
  • イライラして怒りっぽい
  • ささいなことが気になり、とりこし苦労が多い
  • 悲観的になり、人に会うのが煩わしい
  • 寝つきが悪く、途中で目が覚めやすい など
(参考:杏林大学 田島治教授発表資料)

 

全般性不安障害(GAD)の患者さんは治療の機会を逃しています。

病気の放置による合併症 GADという病気の名称やその症状については、これまであまり知られていなかったため、治療を受けていない(病院に行っていない)方も多いようです。また、病院に行っている方の場合でも、自律神経失調症や更年期障害と診断され、GADの患者さんとしての治療の機会を逃していることもあるようです。
 GADは発病すると、他の精神科領域の病気(うつ病、パニック障害、社会不安障害(SAD)など)を併発する可能性が高くなるといわれておりますので、GADの症状(コントロールできない不安や心配が続き、「こころやからだ」に不調をきたす)が現れている場合は、早めに専門医(精神科や心療内科)の診断を受けてください。

 

全般性不安障害(GAD)の治療法

 GADの治療法には大きく分けて薬物療法と精神療法の2つがあります。GADの本態(病気のもと)は不安にありますので、まずは薬を使って、不安をコントロール可能なくらいまで軽くし、精神療法によって患者さん自身が不安をコントロールできるようにしていきます。

薬物療法
 海外では、早い時期から薬物による治療の研究が盛んに行われており、既にGADの治療薬として承認され、患者さんの治療に使われている薬(一般名:パロキセチンなど)もあります。
 一方、日本では、GADという病名で国(厚生労働省)から承認されている薬はなく、抗うつ薬や抗不安薬などを用いて治療が行われているのが現状です。
 現在、GADという病名で承認を受けるため、治験(国から薬として承認を受けるための臨床試験のことです)が行われています。

精神療法

精神療法 GADの発病の原因が、患者さんの生育歴や性格によっているような場合は、精神療法も重要となります。精神療法には、カウンセリング、認知行動療法、セルフコントロール法などがありますが、いずれも無意識に存在している「不安の根源」を探し、そのコントロールを目指すものです。
 精神療法は、薬物療法と違って副作用が少ないのが利点ですが、患者さん自身の努力がかなり必要なことや主治医の先生との相性などもあり、効果にバラツキが出る場合があります。

 

周りに全般性不安障害(GAD)の患者さんがいる方へ

 GADの患者さんは、不安や心配を周りに訴えることが多いのですが、その訴えの中には、病気ではない人からみるとナンセンスに感じられることもあるので、じっくりと訴えを聞いてあげることが難しいときもあるかと思います。しかしながら、不安や心配に伴って「こころやからだ」にも不調が長く続いていることを理解して、温かい気持ちで支えてあげてください。
 また、GADの患者さんと思われる方が周りにいて、しかも治療を行っていないようでしたら、単なる心配性とみなさないで、なるべく早く専門医(精神科や心療内科)の診断を受けるようすすめてください。

※治療に当たっては、必ず専門医(精神科や心療内科)にご相談ください。
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