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不眠症

 

不眠症とは

不眠症とは 不眠症とは、「寝つきが悪い」「眠っても何度も目がさめる」「熟睡できない」といった症状がたび重なり、慢性化している状態をいいます。最近、この不眠症をはじめとする睡眠に関する問題を抱える人の数は増加傾向にあり、5人に1人が睡眠に関して何らかの悩みを抱えており、そして10人に1人が「不眠」で悩んでいるという調査報告があります。
 しかし、睡眠には個人差があるため、検査してみれば7時間以上眠っているにもかかわらず「眠れない」と感じる人もいれば、3〜4時間睡眠でも平気な人もいます。ですから、客観的に何時間眠っていようと、本人が安眠・快眠できないと自覚する状態が継続する場合を不眠症と判断するケースが多いようです。

 

不眠症は病気です

 いずれにせよ、満足に眠れない日が続くと「体がだるい」「日中に居眠りをしてしまう」など、日常生活にさまざまな支障をきたします。これは本人にとっては大変深刻な問題ですが、これらの悩みを訴えたところで「本人のやる気の問題」と周囲から一蹴されてしまいがちです。
 すると、悩みを解消することもできず、そのため一層眠れなくなるという悪循環に陥ってしまうことが多いようです。
なお、不眠症は睡眠障害の一種ですが、睡眠障害は大きく分けると次のようになります。
不眠症は病気です

【睡眠障害の大分類】

不眠症
睡眠の開始と維持が障害された状態
過眠症
昼間に強い眠気があり、一度眠ると自然に覚醒(目を覚めること)できにくい状態
睡眠リズムの異常
睡眠と覚醒には約24時間の周期で変化するリズムがありますが、このリズムに変化がおきてしまい夜に眠れなくなってしまう状態
睡眠中の行動による不眠
夜驚(やきょう)、悪夢、夢中遊行など睡眠中の行動によって睡眠が障害される状態

 

不眠症の症状と種類

 心配事や悩みがあって眠れない、または「枕がかわると眠れない」というように、引越し先や旅先で眠れなくなったという経験は誰もがあると思います。このような一時的な環境の変化や心理的ストレスで数日間眠れないものを一過性不眠といい、1〜3週間不眠が持続するものを短期不眠といいます。これらは、一時的な発熱などの身体的要因、時差ぼけなどの生理的要因によってもおこり、原因がわかればそれを解決することで不眠は改善されるので、専門的な治療の必要がないことも多いです。
 しかし、1ヶ月以上の不眠は長期不眠といい、内科疾患(喘息、心不全など)や精神科疾患(うつ病、不安障害など)が背後に隠れている場合もあり、病院で診察を受け、適切な治療を受けることが必要となります。


【不眠症の分類】

入眠障害
眠ろうとしてもなかなか眠れないという、いわゆる「寝つきが悪い」ケースです。横になってから実際に寝付くまでの時間には個人差がありますが、寝付くまでに30分以上かかる日が何日も続くとなると、眠らなくてはという意識が強くなり一層眠れなくなってしまうことが多いようです。
熟眠障害
眠りが浅いと感じる状態をいいます。これは、寝付いたにもかかわらず途中で何度も目が覚めてしまう中途覚醒(ちゅうとかくせい)が原因となっている場合があります。しかし、尿意や夢をはじめとする何らかの原因で眠りが中断されても、その時間が短いと夜中に目覚めたという記憶がないこともあります。
そのため、中途覚醒の自覚のあるなしにかかわらず、ぐっすり眠った、熟睡したという感覚が得られない場合は、熟眠障害を疑ってみる必要があります。
早朝覚醒
朝早いうちから目が覚めてしまう、起きようと思っている時刻よりずっと早くに目が覚めてしまいそのまま眠れなくなってしまう場合です。お年寄りによく見られます。

 

不眠症の原因は

不眠症の原因としては、次のようなものが考えられます。
環境要因
工事の音や車の音など、騒音が原因で眠れない場合や、暑すぎたり寒すぎたりして眠れない、明るくて眠れない、家族の歯ぎしりやいびきがうるさくて眠れないなど、眠るときの環境が要因となっているケースです。
生理的原因
海外旅行時にしばしば陥る時差ぼけや、交代制勤務で深夜勤務などに変わったときに眠れないケースです。
心理的な問題
悩みや心配事、ストレスが原因で眠れないケースです。
器質的疾患
何らかの体の症状が原因で起こる不眠です。大きないびきが突然途絶える「睡眠時無呼吸症候群」や、安静にしているとふくらはぎや足先がむずがゆくなったり、ほてったりする「むずむず脚症候群」、睡眠中に足の筋肉が連続して痙攣(けいれん)する「周期性四肢運動障害」などがあります。
精神疾患
うつ病や不安障害など、精神科領域の病気は、不眠症を伴うことが多いようです。

不眠症の原因 このように、不眠症にはさまざまな原因がありますが、最近になって不眠症を訴える人が多くなっている理由は、現代の社会にあるようです。現代社会は、ストレス社会ともいわれるように、子供から大人まで、家庭や学校、職場とあらゆる環境にストレスが存在しています。これらのストレスは私たちの心身に影響を与え、このため不眠を訴える人が多くなっていると考えられます。
 また、昼夜の自然なリズムを無視した24時間社会も原因の一つのようです。深夜労働や交代勤務制で昼夜が逆転した生活をとらざるを得ないケースが増えており、こうした環境においては一定の生活リズムを保つことが難しくなります。すると、睡眠と覚醒のリズムをコントロールしている生体時計の機能にズレが生じ、不眠につながる場合がでてきます。
 つまり不眠症は、現代社会特有の病の一つといえるのです。

 

不眠症の検査と診断

 不眠症の診断は、問診が重要となりますので、家族などに自分の睡眠時の様子などを聞き、受診の準備をしておいてください。また、就寝、起床時間を記した睡眠日誌をつけておくことも診断の役に立ちます。
 なお、不眠症外来のある病院や専門医のいる病院の他にも、内科、神経内科、精神科でも不眠症の診断及び治療は行われていますので、症状のある方は、なるべく早く受診してみてください。


どんなふうに眠れないか
  • 寝つきが悪い
  • 眠りが浅い
  • よく目が覚める
  • 朝早く目が覚める
  • 金縛りを起こす
  • 寝ようとするとふくらはぎや足先がむずむずする など
寝ているときの様子
  • いびきをかく
  • 歯ぎしりをしている
  • 寝言を言う
  • 寝相が悪い など
起きているときの様子
  • だるくてやる気がしない
  • つい居眠りしてしまう
  • 不眠のことを考えてしまう
  • 昼夜逆転した生活をしている
  • コーヒーやお茶などをよく飲む  など

 睡眠そのものを調べるためには、ポリグラフ検査を行います。この検査ではいろいろな装置をつけて一晩眠り、睡眠時の脳波、心電図、眼球運動、あごや下肢などの筋電図に加え、必要に応じて呼吸運動や換気の様子、いびきも記録します。
 この検査を行えば、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などの診断も正確に行うことができます。
 また、睡眠のパターンだけでなく、生体リズムを把握するために、細い柔らかなチューブ状の直腸体温計を肛門に入れて、体温の変化を見ることもあります。
不眠症の検査と診断

 

不眠症の治療法

 不眠症の治療には、睡眠薬を使う治療(薬物治療)と睡眠薬を使わない治療の2つがあります。

睡眠薬を使わない治療
治療法
内容
生活指導
睡眠環境を整える、食事や嗜好品についての習慣を改める、適度な運動をする、肥満を治すなど、まず生活改善を行います。
リラックス療法
よい眠りを得るためには、心身のリラックスが欠かせません、そこで就寝前に自立訓練法を行ったり、リラックスしたときの脳波ができるようにコントロールしたりします。
精神療法
精神疾患とまでいかなくても、いろいろなストレスや悩みが原因で不眠になっている場合、簡単な精神療法を取り入れると効果的です。
高照度光療法
主に睡眠時間帯が社会生活にとって望ましい時間帯とずれてしまっている場合にもちいられる治療法です。2500〜3000ルクスの高照度光を照射することにより、睡眠や体温といった生体リズムを人為的にずらすことで効果を得る方法です。

睡眠薬を使う治療(薬物治療)
 不眠が続く場合、睡眠薬を服用することは効果的な治療といえますが、睡眠薬に関しては「癖になる」「怖い」といったイメージを持たれている方も多いと思います。
 現在、不眠症の治療で使われている睡眠薬のほとんどはベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬で、感情の変化やストレスによる脳神経の興奮を抑えることで眠りを誘う(自然な眠りが起こる仕組みに近い)作用を持っている薬です。薬の量を増やさなければ薬が効かなくなることを「耐性ができる」といいますが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は医師の指示を守って服用していれば、耐性ができることはまずなく、長い期間服用していても中毒症状が起こることもほとんどありません。
 なお、このベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、薬の効く時間が短いものから長いものまで4つのタイプに分けられ、症状に合わせて最も適したタイプの睡眠薬が処方されます。

超短時間型
睡眠導入剤ともいわれます。作用がすぐに現れ、その分薬が効いている時間も短いので翌朝にまで薬の作用が残りません。寝つきの悪い入眠障害に用いられます。
短時間型
薬の作用が現れるまでの時間が比較的短く、作用時間も短めで、入眠障害や熟眠障害に用いられます。
中間型
作用が現れるまでにかかる時間は、超短時間型や短時間型よりはやや長く、持続時間が比較的長いのが特徴です。早朝覚醒などに用いられます。
長時間型
薬の分解に時間がかかるため、起きた後も薬の作用が続きます。うつ病などに伴い不眠が現れる場合に用いられることがあります。

 最近では、全国の薬局・薬店で購入できる睡眠改善薬も登場しています。これは、病院で処方される睡眠薬とは異なり、抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンを配合し、催眠作用を発揮させるのが特徴です。

※治療に当たっては、必ず専門医(不眠症外来担当医など)にご相談ください。
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